このセクションでは、起業後どうやって事業を成長させてきたのか、またマネックスグループ参画を経ての事業拡大の展望を紐解いていきたいと思います。
この記事に書いてあること
Q. 樋口さんの場合は自然発生的にビジネスにつながっていった印象ですが、最初のお客様はどうやって獲得したのですか?
A. まずは自分のつてを使い、リクルート時代の知り合いのお母さんに利用していただいて口コミで広げていただいたりしました。またそれと合わせて最初は広報に注力をし、メディアで取り上げてもらうことに努めました。起業した最初のうちに広報をする良し悪しはあると思いますが、「お迎えシスター」にとっては非常に有効だったと考えています。
新しいサービスは信頼を築き上げるのに非常に時間がかかりますが、最初のうちはマーケティングにもお金をなかなかかけられません。そういった状況のなかで、広報にたくさん出ることで信頼を築き上げることができました。また広報に出ていることで、安心して紹介しやすい状況を作ることもできたと思っています。
「お迎えシスター」のお客様拡大のためには、紹介が非常に重要なツール・チャネルです。クオリティ重視のサービスにおいては、信頼を効果的に構築できる広報への注力は非常に重要だと考えています。
Q. お客さま集め同様、チームメンバー集めも多くの起業家が直面する悩みですが、樋口さんは仲間集めをどうやって行いましたか?
A. 「お迎えシスター」の場合は紹介が多いですが、公募も行いました。公募の際は、カルチャーフィットを重視していました。
教訓としては、少しでも疑いがあったら採用しない方がいいと言うこと。特に小さいチームだと一人当たりのパワーがすごく大きいので、すごくカルチャーフィットがある人じゃないと難しいと感じました。
Q. 事業拡大はどのようにやっていったのでしょうか?
A. 株式会社Selanは今がまさに1→10の事業拡大のステージだと感じています。
私は今イギリスにいるため、事業やチームの安定的な運営を考えた際に、マネックスグループとの話を始め、ご縁があってジョインすることになりました。マネックスグループへの参画を決めたことが、今後の事業拡大におけるターニングポイントになると思っています。
今後はどうやってグループ内のリソースを共有させてもらいながら、ビジョンを達成していけるかが課題でもあり、チャレンジでもあり、楽しみでもあります。マネックスグループ傘下には教育の会社がSelanを含めて2社あるため、先にジョインしている企業とどうやってシナジーを作るかが一つ目の課題です。二つ目はSelan特有になりますが、クオリティの高い先生をどうやって安定的に確保していけるのか、またターゲットを広げていけるのかの課題です。
現在の価格帯は決して安いわけではないので、今後どうやって手が届きやすいサービスにしていきながら、今のクオリティを担保していけるのかがチャレンジだと感じています。
Q. 最後に、これから起業やチャレンジをしようとしている方へメッセージをお願いします
A. 起業は大きく2つの側面があると思っています。
一つ目はこれ以上ない刺激と喜びが得られるプロセスだということ。自分が作り出したサービスや価値がお客様に届き、それを使った喜びの声や感想が得られるというのは、今まで経験したことがないものです。例えば子供たちが「これからお迎えシスターのお姉さんが迎えに来るんだ」と言っていた時に、自分がサービスを立ち上げなければ「お迎えシスター」というこの言葉も生まれなかったし、この言葉に生命が宿ることはなかったわけです。自分の立ち上げたサービスに命が宿り、その価値が波及していく感覚は変えがたく、大きな喜びを感じられます。
その一方で苦しいこと、辛いことはたくさんあります。
レールが敷かれていないので、何をしないといけないのかを自分で探していかないといけない苦しさがあります。ただその苦しさの中にこそチャンスがあり、自分自身が持つ本当の価値にも向き合えるので、起業は人生を豊かにしてくれると思っています。