このセクションでは、ピポット後の再スタートを経て、連続起業家としての肩書、および6つの事業運営に至るまでどのように事業を拡大していったのか、その変遷と秘訣を紐解いていきたいと思います。
この記事に書いてあること
Q. 「0→1」の「1」を実感した後の変遷はどういったものだったのでしょうか?
A. 建築の分野とコミュニティの分野でそれぞれ変遷を遂げていきました。
まず建築分野において。自分が学生の頃の設計分野ではまだ手書きが残っており、卒業の頃に二次元のCADが最先端と言われるような時代でした。それが現在ではBIM(Building Information Modeling)が最先端と言われるようになっています。いち早くその動きを察知し、40歳のタイミングでBIMの技術を取得し、設備投資をしながら大手企業と直接取引ができるステージまで育てあげました。今はその基盤をもとに、技術者を育て、拡張をしていくという次のフェーズに突入しています。
一方コミュニティ運営においては、MAKUHARI NEIGHBORHOOD PODの施設運営が6年前に始まり、これが1→10の事業拡大のきっかけとなっています。いろんなイベントやワークショップをリアルで実施することで、いろんな人が集まり、繋がっていく。そして、そのリアルな拠点をベースに千葉県の様々な場所に出向いていくことで、点と点が結び始まったなという実感もあります。
またクラウドファンディングのアドバイザリーをスタートしたことも、事業拡大のきっかけになっています。クラウドファンディングはお金の収集がメインだと捉えられがちですが、私たちはその視点だけではなく、新規事業に挑戦する種、人や情報がいっぱい集まる場所だと捉えています。いろんな方とつながることで人脈も広がるし、いろんなビジネスモデルも入ってきます。
それに加え、シェアリングエコノミー推進事業、広報・PRのスタート、千葉県行政との連携、など様々なことに同時に取り掛かりました。当初は持ち出しも多く、種を撒き続けているような感覚でしたが、それらの芽が一斉に出始め、相乗効果が生まれ始めたのがここ2、3年のことです。
Q. 変遷を振り返り、今だったらやり方を変えるところはありますか?
A. 事業をアクセラレートさせるため「指向」と「思考」が合っているパートナーに積極的にアプローチし、事業にJOINしてもらうと思います。
Q. 事業拡大において直面した課題トップ3はなんでしょうか。
A. ①アイディアを生み出すこと、また生み出し続けること
②パートナーシップを構築すること
③実行すること、また実行し続けること
この3つだと思います。
まず①について。会社を存続させるためには、常に新しいアイディアを生み出し続け、プロトタイプを作り出し続けることが大事だと考えています。そのためにも、クラウドファンディングをやろうとしている人との出会いを大切にしています。これからクラウドファンディングをやろうとしている起業家は、まだ世界に知られていないビジネスモデルを持っているということです。そういった人や情報との出会いを大切にし、次に繋げていくというアンテナを常に張るようにしています。
②は組織作りにも繋がりますが、ピラミッド型の組織を作って支配するということではなく、いかにバザール型のフラットな関係を築くかが大事だと考えています。それがクリエイティブな環境を生み出すために重要な関係性作りとなります。
そして③は実行することの大切さ。アイデアを持っている人は世の中にたくさんいます。けれど実行する人は少数です。さらには、実行し続ける人は、ほんの一握りです。
上記3つには含みませんでしたが、もう一つ大事な考え方は働き方についてです。会社員をされている方の中には「辛いけど頑張らなきゃ」という考えの方も多いかと思いますが、それは違う。仕事は苦行ではないので、いかに遊ぶように働けるかというのを大切にしています。そして、これがまさに幕張PLAY株式会社の名前の由来でもあります。遊ぶように働ける仕事に積極的に取り組んでいくことこそが、実行をし続けていく動機にもなっています。
楽しめているかいないかで時間の捉え方も異なってくる、そしてアウトプットの質も量も全く異なってきます。
Q. この事業拡大のフェーズにおける相談役はいたのでしょうか?
A. 未だに特定のメンターというような方はいません。ただし起業家交流会や経営者のコミュニティには積極的に参加し、先輩経営者の体験談を聞いて自分の中で咀嚼するようにしています。
また、自分よりも若い人たちから新しい感覚を学ぶため、積極的な交流を心がけています。
Q. 神長さんにとってのロールモデル・メンター・ヒーロー/ヒロインのような存在の方はいらっしゃるのですか?
A. エルトン・トゥルーブラット曰く、『その下に座ることは決してないと分かっていながら、木陰をつくる木を植える時、人は人生の意味を曲がりなりにも理解するようになる。』という考え方を持った生き方をしていきたいと思っています。自分が恩恵を受けずとも、未来のため、周りのために木を植える。そういう生き方をしていきたいと思っています。
Q. 事業拡大におけるターニングポイントはどこだったのでしょうか?
A. MAKUHARI NEIGHBORHOOD POD施設運営が始まったこと、また、現在取締役を務めている石井貴美子さんとの出会いでしょうか。
石井さんは起業家のピッチイベントに来ていたオーディエンスの一人。その際に行った1分プレゼンをきっかけに一緒にイベントをやるようになり、「指向」「思考」ともに合致していたため、役員として一緒に会社経営をやらないかと声をかけたのが始まりです。まさにターニングポイントですね。